第115章 人に頼む態度

南坂海乃は、彼が探りを入れているのだと察し、わざと困ったように首を横に振った。

「横尾さん、お恥ずかしい話ですけど……私たちの関係は噂どおりで、愛情なんてほとんどありません」

横尾皓はほっと息をつき、穏やかな笑みを浮かべる。

彼は一番奥の本棚から、ゆっくりと一冊の本を抜き取り、南坂海乃へ差し出した。

「俺の好きな本なんだ。海乃、君にあげるよ」

受け取った表紙には『記憶の断片』の文字。

主人公が努力の末、現実と虚構を結び合わせていく――そんな内容の本だ。

彼が何を示唆しているのか、南坂海乃には測りかねた。勝利宣言のつもり? それとも、彼が日々思い描くものを現実にする、とでも言いた...

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